1991年8月

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オレにはね、ふたりの兄キがいるんだ。つまり、3人兄弟のいちばん下。オレが産まれるとき、オフクロは、女の子がほしくてしょーがなかったんだってさ。だけど、産まれてきた赤ん坊には、見事にチンチンがついていた!オフクロは悔しかったもんで、な、なんとリッパにチンチンつけてるオレを、5才まで女の子として育てたんだ!ふだんは真っ赤なスカートはいて、海水浴に行ったら、ビキニを着てたんだぜ、オレ!!信じられないでしょ?もう、それがイヤでね。小学校に入ってから、さすがにスカートははかなくなった。でも、運動会とか遠足とかの学校行事のときは、オフクロがはかせたがるんだよー、まっ赤なソックスを。「今日は特別なんだから!」ってさ。男の子はみんな白いソックスはいてるのに、いつもオレだけハデな赤いソックス。恥ずかしくてねー。もう、学校行事があるたびにユーウツになってた。オレ、今でもそうだけど、体育祭や文化祭っていうと、サボってばかりで、ウダウダしてる。これって、小学校のときの赤いソックスが原因で、すっかり学校行事がキライになっちゃったんだからね、考えてみると。ハハハ。そんなふうに育ったオレ、小学校に入るときに幼心にも誓ったね。”絶対、オレは男になるんだ!”って。
さっそく始めたのが、野球。地元の少年野球チームに入って、毎日練習だよ。ドロドロになって家に帰って、夜は夜で、遅くまで素振り。おかげでオレ、小6のとメンバーにまじって、小1で、サードのレギュラーになれたんだ。もう、頭の中は、プロ野球選手になることしかなかったね。いつか長嶋さんや王さんのような大選手になりたかった。

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ところが!忘れもしない。小5のときだよ。練習のしすぎで、ひじを痛めたんだ。「ひじに水がたまってます。残念ですが、もうボールを投げてはいけません」って医者に宣告された。泣いたね、あのときは。家に帰ってワンワン泣いた。あきらめきれないでねー。練習の時は意地でキャッチボールやるんだけど、全然相手のところまで届かない。オフクロには「ムリしないでやめなさい!」って言われたけど、試合の時もベンチに入ってた。で、監督に「出させてください!」って頼み込むんだけど、ダメ。”ふざけんじゃねーよ!!”いつもベンチでは、心の中でそうつぶやいていた。
そうこうするうち、中学生。野球はできないし、チャリで近くの江の島に行ってぼんやりしてる毎日。オレって白黒はっきりしないとダメな性格でね、何か毎日ムシャクシャしてた。だから、よく先輩ともケンカしたよ。ボコボコにされても、向かって行った。やっぱり、夢中になれるものをとりあげられた悔しさをぶつけてたんだと思う。前に、友達とオーディション受けたジャニーズから「レッスン受けに来なさい」って通知が来たのは、そんなころ。野球に代わって夢中になれるものがやっと見つかったんだ。
今、SMAPやってて、デビューも決まった。これからが大変だと思う。とにかく、オレはオレでいくしかない。やっぱり、SMAPでは、オレは笑わせ役に徹するよ。そりゃ、カッコよくきめたいときもあるけど、やっぱりオレって笑顔しかとりえないからね。正直言って、悔しいこと、つらいこと、泣きたいこと、いっぱいある。でも、それは絶対表に出さない。軽ノリで、いつもみんなを笑わせるピエロでいく!ん?女の子?オレ、女でも、ちゃんと自分を持ってるコが絶対いい!性格悪くても、ヤンキーでもいい。自分の道をしっかり歩いてるコに出会いたいな。