1989年5月

NHKの連続ドラマ「青春家族」で、繊細な少年・大地役を好演中の吾郎くん。いつもとびっきり明るい笑顔を見せてくれる彼が、どんな思いで、淋しげな横顔をもつ少年を演じているのかを語ってもらったよ。

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自然に、ボクらしい大地を演じていくつもりだよ

休憩時間の合間に、ドラマのこと、学校のこと、ちょっと気になるプライベートのことなど聞いてみた。

「今日はね、午前中はおかあさんとのカラミを撮ったの。夜はパソコンの前でひとりつぶやいたりするシーンがあるんだ。結構アブナイよね(笑)。そうそう、今日さ、食事のシーンがあったんだけど、キンキっていう魚がおいしくてさ、いしださんと清水美砂さんと3人でずっと食べてたの。スタジオの照明が消えて、スタッフがいなくなっても(笑)。でも、本当においしかった。このあとは6シーンぐらいあるのかな。」

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パソコンに向かって、ひとりつぶやくシーン。淋しげな横顔に思わず見とれちゃう

ドラマの経験は初めてではないけれど、SMAPとしてでなく、稲垣吾郎として取り組むのは、今回が初めて。

「みんなと仕事しているときとは全然違うからね。いろいろ不安もあったよ。今でもひとりで淋しいなって思うけど、ひとりでやることの大切さがわかるよ。6人がひとりひとりでやっていって、みんなが集まれば大きなものになるんだけど、6人が今の状態で全員集まってもひとりぶんの力しかないじゃない。だから、ひとりでやることはいいことかなって思う。それにさ、こうやってひとりでやってると、SMAP全員でやる仕事が楽しみっていうか、待ち遠しくなるんだよね。」

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衣装の学生服でポーズをとってくれた吾郎くん。学校の制服はブレザーだそう。

「演技はすごく好きだよ。でも言いたいセリフとか、カッコいいセリフはないからさ(笑)。役づくりっていうのは特にしない。自然にボクらしい大地を演じてるよ。でも、暗い役だからたまに暗くなっちゃうけど。まあ、ぬけてる感じはないし、頭のいい役だからね…いちおう役づくりしてるってことかな。でも、本番何分前に入るとかいうのはないね。」

「このドラマはね、演技については勉強になったって感じがする。ボクがいちばん年下だし、まわりの人の演技を見てると勉強になるよ。何より、ひとりってこういうもんだなっていうのがわかったしね。ボクらは6人でやってるから、ひとりが大きな課題だね。」

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セリフを忘れたNGはない!と豪語する吾郎くん。何かにつまづいてころんだNGはあるとか…

「今日の朝、目が覚めたら収録の1時間前なの。もうあわてちゃってさ。いちばん近くにあった制服着て飛んできたんだ。ネクタイはしてないけど、今日休みなのに制服なんか着て変だよね。」

「この前家のカギを盗まれちゃったんだ。親が差、2時間ぐらいカギをつけっぱなしにしておいたら、その間にファンのコに持っていかれちゃったの。2日ぐらいして返ってきたんだけどね。心配だから家のカギ替えちゃった、こういうのって、まいっちゃうよね。」

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ディレクターさんと、モニターでチェック。OKに、ほっ。

素顔の吾郎くんは、とても気さくで、インタビューの質問にも一所懸命に答えてくれる。吾郎くんの良さって、アイドルであっても、普通の感覚をちゃんと持っているところにあるのかもしれないね。

「学校で友達たくさんできたよ。友達に会いに行くのが楽しいんだよね。光GENJIの敦啓くんとはクラスが一緒なの。席も近く。ねぇいいでしょ(笑)。学校ではお弁当のときがいちばん楽しいかな。思った通りの楽しい学生生活を送ってるよ。でも校則が厳しいから、ちょっとそれが……って感じ。」

「ボクも頑張って出席してるから、みんなも頑張って学校行ってね。それから、『青春家族』見てくれてると思うけど、ボクの演技のこととか、いろいろ気がついたことがあったら教えてね。」