1989年11月

「時間ですよ、平成元年」のヒロシ役が、もうすっかり板についた感じの正広。11月某日に緑山スタジオで行われた収録は、朝から一日中というハードなスケジュール。
「メチャクチャ眠いよ…今日は7時に起きたんだけど、8時30分スタジオ入りの日なんか朝6時ごろ起きるんだよね」と、ちょっぴりつらそう。でも、スタジオに入ったら、目もバッチリ。しっかりと役者・中居正広としての演技を見せてくれる。
「共演者のみなさんは本当の家族みたい。おかあさんはおかあさん、お姉ちゃんはお姉ちゃん。ボク、お姉ちゃんいないから、篠ひろ子さんを本当のお姉ちゃんだと思ってる。郁弥さんにはプライベートでもお世話になってるけど、普段、楽屋にいるときもよく話すよ。女の子のこととか、モテる秘訣とか…。モテる秘訣?それは秘密です(笑)」

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この日の撮りは、とにかく大人数。茶の間に総勢15名ほどがそろうシーンは迫力もの。郁弥さんが、つみきみほちゃんに結婚を申し込むというほのぼのとしたシーンに、正広もリラックスした明るい笑顔。
「最初の頃ほどじゃないけど、やっぱりスタジオに入ると緊張する。慣れてはきたけど、緊張感っていうのはあるね。演技については、ヘタなのはしょうがないから、遅刻しないこととセリフを忘れないことをまず心がけてる。ボク、舌がまわらなくてセリフまわしがダメだから…。でもセリフはきっちり覚えるようにしてるよ」
ひとつのシーンを撮り終えると、真剣な表情でモニターをチェック。SMAPの仲間であり、このドラマの共演者でもある剛と慎吾は、そんな正広を「ドラマのときは、とにかくまじめ!すごく頑張ってるよ」と、ほめまくっていたよ。

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待ち時間が長いときは、ただただ楽屋で寝るという正広。そんな正広が楽しみにしているのが食事のシーン。この日は午後から2回も食事のシーンを収録した。
「メシのシーンはおもしろいよ。グシャグシャになることもあるけどね。結構おいしいし、楽しみにしてる」
その大好きな食事のシーンでは、カメリハのときからニコニコ。実際に食べるのは本番1回のみで、リハーサルのときは、食べ物にラップがかけられている。食べるフリをして、セリフ合わせをするわけだけど、食事が目の前にあると、つい顔がゆるんでしまうみたい。
1回の食事のシーン。1時間ほど前に昼食を食べ、本番中もひたすら食べ、それでもさっきのおかずをしっかり食べながら、次の食事シーンを待つ正広はなかなかの強者。しかし、食べ過ぎが原因か、次のシーンではタラコをのどに詰まらせ、セリフが出ずにNG!森光子さんに「かわいいわねえ」と言われ、複雑な表情を見せつつ「すいませーん」とあやまる正広だった。

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「メシのシーンも楽しみだけど、緑山スタジオの食堂がおいしくてさ、これも楽しみのひとつ。安くていっぱい食べられるし…」
なんといっても、食べることが仕事をこなしていく正広のパワーみたいだね。
「ヒロシって役は、まじめで、エッチじゃなくて…。まあ、そんなところがボクに似ているっていえば似てるかな(笑)」
ヒロシ役をこんなふうにいう正広だけど、ドラマにかける真剣さは、回りを見ていてもヒシヒシと伝わってくる。正広の頑張りぶり、正広の演じる宝田ヒロシくん。両方をあったかく見守って応援していきたいね!